【仏教入門(2-8)】仏教誕生編。ブッダの修行はこう始まった|瞑想だけでは悟れない理由とは?

瞑想 ブッダ

皆さん、こんにちは。「かんどう和尚のはじめての仏教」へようこそ。 このサイトは、仏教初心者の方に向けて、やさしく・わかりやすく仏教の教えをお届けしています。

このシリーズでは、ブッダの伝記『ニダーナカター』をもとに、お釈迦さまの生涯をたどっています。
これまでと同様、悟りに至る前のお釈迦さまのことを「菩薩(ぼさつ)」と呼んでいきます。

前回は、菩薩が出家を決意し、実際に出家されたところまでをお話ししました。


出家=罰ゲーム?日本とインドのギャップ

日本では「出家」と聞くと、どこか“罰ゲーム”のようなイメージを持たれる方も多いかもしれません。
たとえば、大河ドラマなどで敗れた武将が出家する場面、よく見かけます。

あれは、仏教が「世間とは切り離された世界」と見なされていたからで、出家することで「もう戦いません」と示す、いわば政治的なジェスチャーでもあったのです。

ところが、古代インドではそのイメージとは真逆で、出家はむしろ“当時のトレンド”でした。
実際、お坊さんたちに「なぜ出家したのか?」という、今でいうアンケートのような記録が残っているのですが、最も多かった答えは――

「友人や家族が出家したから」

つまり、「かっこいい生き方」として出家が憧れられていたわけですね。
菩薩が出家された当時も、そんな空気があったのではないかと想像されます。


瞑想の師をたずねて:アーラーラ・カーラーマとの出会い

さて、出家はしたものの、当時の菩薩はまだ修行の“ど素人”。
まずは、修行の方法を誰かから学ぶ必要がありました。

情報を集める中で、菩薩は「アーラーラ・カーラーマ」という瞑想の達人がいると知り、そのもとに弟子入りします。

瞑想とは、ざっくり言えば「精神を集中させること」。
この瞑想には段階があり、最初のレベルが「初禅(しょぜん)」です。
これは、以前もお話ししましたが、菩薩が幼少期に木陰で自然と入ったレベルでもあります。

そこから、「二禅」「三禅」「四禅」、さらに
「空無辺処(くうむへんしょ)」
「識無辺処(しきむへんしょ)」
「無所有処(むしょうしょ)」
「非想非非想処(ひそうひひそうしょ)」
と、上位の段階が続いていきます。

……といっても、名前は覚えなくて大丈夫です。

アーラーラ・カーラーマは、その中の「無所有処」という高い境地に到達していた人物でしたが、菩薩はわずか数日でそこに至ってしまいます。

その才能を目の当たりにしたアーラーラ・カーラーマは、
「弟子たちを一緒に率いていこう」
と、なんと菩薩に申し出ます。

後に菩薩は、
「アーラーラ先生は、私を師匠と同等の立場に置いてくれた」
と語っており、大きな尊敬の念を抱いていたことがわかります。

自分の弟子がどれだけ優れていても、対等に扱うというのは、なかなかできることではありません。アーラーラ・カーラーマの懐の深さがしのばれますね。


二人目の達人:ウッダカ・ラーマプッタとの修行

とはいえ、瞑想によって「無所有処」の境地に達しても、菩薩の中には「老・病・死の苦しみ」はなお残ったまま。
つまり、悟りには至っていなかったのです。

そこで、菩薩はアーラーラのもとを離れ、今度は「ウッダカ・ラーマプッタ」という、さらに高い境地「非想非非想処」に達していたとされる瞑想の達人のもとを訪ねます。

ここでも菩薩は、あっという間にその境地に到達してしまいます。

これを見たウッダカ・ラーマプッタもまた、
「この修行集団をあなたに率いてほしい」
と申し出ます。

しかし、菩薩の回想には少し違いが見られます。

アーラーラ・カーラーマのことを「師匠」と呼ぶ一方で、ウッダカ・ラーマプッタのことは「同じ修行者」と表現しているのです。
つまり、菩薩にとって**生涯で唯一の「師匠」**と呼べる人は、アーラーラ・カーラーマただ一人だったのですね。

このあたりのエピソードは、『仏伝』にはあまり詳しく載っていませんが、『中部経典』に収録されている「聖求経(しょうぐきょう)」に記されています。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。


瞑想だけでは、悟れない

こうして、二人の達人のもとで、瞑想による最高レベルの集中力を得た菩薩でしたが――

それでも悟りには至りませんでした。

つまり、

どれだけ深い瞑想ができても、それだけでは悟りに届かない。

瞑想は「必要なスキル」ではありますが、「それだけでは足りない」のです。

では、何が足りないのか?
菩薩は、その答えを求めて、さらに修行の旅を続けていくことになります。

次回は、菩薩が次に挑んだ修行についてお話ししたいと思います。
どうぞお楽しみに。

※この記事は以下の音声コンテンツをもとに作成されています。音声配信では、記事にはないアフタートークも収録されておりますので、ぜひお聴きください。