【仏教入門(2-5)】仏教誕生編。ブッダ父の「箱入り息子大作戦」

ブッダ 宮殿

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ブッダの伝記であるニダーナカタ―に基づいて、ブッダの生涯についてお話ししております。前回は、ブッダが誕生されて赤ん坊でありながら言葉を話されたところまでお話ししました。今回はその続きです。例によって、ブッダはまだ悟られておらずブッダにはなられていないので、菩薩とお呼びします。

スッドーダナ王の憂鬱

赤ん坊でありながら、言葉を話すという離れ業をなされた菩薩ですが、これは前世に兜率天に住まう神であったときのエネルギーが残っていて、それが赤ん坊でありながらお話しをすることに繋がったなどと説明されます。そして、その力が切れると普通の赤ん坊になられたそうです。

そこから、成長をされていきますが、菩薩の父であるスッドーダナ王には気がかりなことがありました。それは、菩薩の母であるマーヤー夫人が妊娠されたときにバラモンによってなされた予言です。在俗の生活を送れば転輪王になるが、出家するとブッダになるというものですね。菩薩は由緒ある王族のシャーキャ―族の跡取りですので、出家されると大変困ります。

そこで、スッドーダナ王は、家臣に「息子はどうすると出家してしまうだろうか」と尋ねると、家臣はこう答えました。

「老人と病人と死人と出家者を見ると出家してしまうでしょう」

そこで、王は菩薩に老人と病人と死人と出家者を見せないために、菩薩の行動する場所を制限して、四方に見張りをおいて、そこに老人、病人と死人と出家者を入れないようにしました。これだけ聞くとかわいそうな気もするのですが、菩薩が行動できる範囲は結構広くて、現代の日本の距離に置き換えて計算すると、日本のディズニーランドとシーをあわせたものより広いものでした。

随所に見られるブッダの素養

あるときシャーキャ族で「種まき祭」というイベントがあり、そこで大人たちが楽しんでいる間に菩薩は一人になりました。そのときに涼しい樹木の木陰で瞑想をされたところ、初禅に入られます。仏教では瞑想の際の精神集中に応じて八つないし九つのレベルがあるって考えるのですが、その最初が初禅です。

初めて瞑想をして初禅に入る凄さというのは、書道に例えれば、はじめて筆を握って書いてみたら、いきなり初段の人並みの字が書けたようなものです。このような菩薩の姿を見て、その神々しさに、お父さんのスッドーダナ王は思わず礼拝したといわれます。ただ、こういう随所に見えるブッダになる素質にスッドーダナ王は危機感を募らせたことと思います。そして、菩薩の出家を阻むために享楽的な生活をさせます。冬と夏と雨季の三つの季節に適した九階建て、七階建て、五階建ての宮殿を建てて、季節に応じて移り住まわせ、周囲には四万人の美しい踊り子を配置させます。その光景は、まるで天女の群れに囲まれた神のように過ごさせました。

このようにスッドーダナ王の策略通りに進んでいたのですが、菩薩も青年になりましたので、園遊に出かけることを許可してしまいます。シャーキャ族を率いるために外の世界も見せておかないとなりませんので、そういう気持ちもあったのかもしれません。しかし、それが仇となりました。次回は、菩薩の気持ちが出家へと傾くことになった重要な出来事についてお話しします。

※この記事は以下の音声コンテンツをもとに作成されています。音声配信では、記事にはないアフタートークも収録されておりますので、ぜひお聴きください。