皆さん、こんにちは。「かんどう和尚のはじめての仏教」へようこそ。 このサイトは、仏教初心者の方に向けて、やさしく・わかりやすく仏教の教えをお届けしています。
今回からいよいよ「仏教誕生編」に入ります。ここまでたどり着くのに、ずいぶん時間がかかりましたね。
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まずは、ブッダという人物について簡単にご紹介します。ブッダとは、今から約2500年前のインドで活動した宗教家です。
インドという土地には、ブッダが生まれるおよそ1000年前に「アーリヤ人」と呼ばれる民族が進出し、以後のインドの基本的な世界観を形成しました。ブッダもまた、その世界観の中に生まれ育った人物です。
ブッダは、シャーキャ族という王族の御曹司として生まれながらも、29歳で出家。6年にわたる厳しい修行の末、35歳で悟りを開きます。そして、80歳で亡くなるまでの45年間、ガンジス川流域を巡りながら、多くの人々に教えを説き続けました。
この間、彼は多くの弟子を育て、信者の支持を集めます。当時としてはそれなりの規模を持った宗教となっていたようですが、歴史的に見れば、ブッダ在世中の仏教は、あくまでガンジス川周辺で信仰される小さな新興宗教に過ぎませんでした。
ところが、ブッダが亡くなって数百年後、仏教はインド全土を席巻する巨大な宗教へと成長します。そのきっかけとなったのが、インドを統一したマウリヤ朝のアショーカ王が仏教を篤く信仰したことです。
その後、仏教はインドを超えて南はスリランカ、ミャンマー、タイへ。北は中央アジア、中国、チベット、朝鮮半島、そして日本へと広がり、現在では「世界三大宗教」のひとつに数えられるまでになりました。
では、なぜ仏教はここまで広がり、長い年月を経てもなお信仰され続けているのでしょうか。そのヒントは、仏教の創始者であるブッダの人生に隠されています。その生涯を物語るのが「仏伝(ぶつでん)」です。
皆さんも子どものころ、ライト兄弟やエジソンなど、偉人の伝記を読んだ経験があるかと思います。ブッダにも、そうした「伝記」が存在し、「仏伝」と呼ばれています。
ただし、図書館に並ぶ偉人伝でも出版社や著者によって内容が異なるように、仏伝にもさまざまなバリエーションがあります。時代や地域、編者によって異なる仏伝が多数存在しているのです。手塚治虫さんの漫画『ブッダ』も、広い意味で仏伝の一つといえるでしょう。
そのように数多く作られた仏伝の中で、最も古いと考えられるのが、仏教僧団の規律を記した「律蔵(りつぞう)」に収められている『マハーヴァッガ』です。
ただ、この『マハーヴァッガ』は、ブッダが悟りを開いた場面から物語が始まり、サーリプッタやモッガラーナをはじめとする弟子たちが入信する場面で終わっています。そのため、「生涯を描く伝記」としては中途半端な印象を受けるかもしれません。
しかし、これは仏伝というものが、もともとはブッダの個人的な伝記というよりも、「仏教教団の成り立ち」を伝えるための「創立史」のような性格を持っていたことを物語っています。企業にたとえるなら、社員向けの「社史」「沿革」のようなものですね。それが仏伝の原型です。
やがて仏教が広がっていく中で、一般の人々の間にも「ブッダのことをもっと知りたい」という声が高まり、生涯を描く仏伝が登場していきます。
この「知りたい」という思いの証拠の一つが、ストゥーパ(仏舎利塔)です。ストゥーパとは、ブッダの遺骨を納めた塚のことですが、その周囲には、ブッダの生涯を描いた彫刻が施されているものが多くあります。それを訪れた人々に向けて、「これはこういう場面ですよ」と解説する人がいたと考えられており、そこに仏伝の需要と伝承の広がりが見て取れます。
このような「物語としての仏伝」の基本形を形作ったのが、『ジャータカ(本生譚)』という物語群に収められた『ニダーナカター』です。後世にはさらに多くの仏伝が作られましたが、原点ともいえるのがこの作品です。
次回からは、この『ニダーナカター』を軸に、ブッダの生涯をたどっていきたいと思います。どうぞお楽しみに。
※この記事は以下の音声配信をもとに作成されています。音声配信では、記事にはないアフタートークも収録されておりますので、ぜひお聴きください。

